待ってくれ、洋子

待ってくれ、洋子

待ってくれ、洋子

著者である長門裕之さんが、妻・南田洋子さんとの介護生活と、自分自身の半生を書いたエッセイ。
近頃の、介護疲れが原因と思われる自殺とかの事件を見ていると、ヘルパーを雇うとか、専門の施設に頼って、家族の負担を減らしたほうがいいと考えていた。
介護を受ける者のストレスとかを考えると、家族と他人であるヘルパーとの間には、どうしても越えられない壁があるように感じた。
経済的な問題がなくても、ヘルパーを雇うとかの最終決定は、介護される人にどうしても依存するところが難しい。

特に、南田さんのようにアルツハイマーの患者の介護となると、長門さんは「洋子の国」と表現しているけれども、意思疎通に相当苦労するようで、だんだん言葉を忘れていく、南田さんを笑わせるために、若手芸人のギャグを全力でやるエピソードに、昴 (1) (ビッグコミックス)で主人公・すばるが、脳の病気にかかった双子の弟和馬に日々の出来事を踊りで伝えるシーンを思い出して、介護以上に大変(という言葉では表現できないくらい)だと思った。

自分が介護する側、される側になったとき、自分と周囲の人にとって何がベストなのかを考えさせられると同時に、今の介護保険制度とか、介護ビジネスのモデルは限界があり、最終的には家族だと感じました。