もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら 16冊目
もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
- 作者: 岩崎夏海
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2009/12/04
- メディア: 単行本
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発売当初から本屋に平積みされていて気になっていたのだが、キャッチー過ぎる感じがして読む気はしなかったのです。
著者である、岩崎夏海氏(本人ブログ:ハックルベリーに会いに行く)のインタビュー記事である、ドラッカー先生は聞く耳を持たない高校野球の女子マネージャーが体得したマネジメントの神髄(JBpress)を読んで、購入意欲が上がり、連休中に購入し、今日読んだ。
感想としては、「マネジメント」が古典的名著であることがよく分かったこと。
ところどころ、「マネジメント」から引用してある部分があるけど、それは最新のビジネス本に書いてあることとなんら代わりが無いこと。50年近く色褪せていないことにまず感心(「マネジメント」読んだことなかった)。
で、「マネジメント」や、「マネジメント」を読んだことがなくても、ビジネス分野(リーダーシップ、組織論、経営関係)の書籍をある程度理解しているか否かで、面白さが変わってくるのかなと。
以下、ネタバレ
この小説の面白さは、
- 2つ用意された山場(いや、谷かな)
- 登場人物たちのキャラクター設定
1に関しては、ストーリーの基本線が「『マネジメント』に書いてあることを忠実に実行すると全てうまくいく」というものなので、それが及ばないイレギュラーイベントが話を盛り上げます。そして、イベントを収束されたのも「マネジメント」の力だったり。
2は
- 知識・理論は優秀だが、それを伝える術をもたない監督
- 実力が認められて任命されたけど、本当はやりたくないと思っているキャプテン
- 監督の采配がきっかけでふてくされている投手
- エラーがきっかけで野球をやっていることに疑問を持ってしまった野手
- 足が速いだけでレギュラーになっていることを苦に思っている野手
- 優秀だが、優等生のレッテルを嫌がる、後輩マネージャー
というのを、「マネジメント」の教え通りに面談という名のマーケティングを行うと分かるという展開で、分かりやすく説明されていくことがすごいなと。
と同時に、現実の組織にありそうな、やる気をそがれる理由を持っているキャラクターたちは「マネジメント」を書いてあることを理解し実践していないと、生まれてこないなと。(そして、それらにほとんどあてはまる自分がいて、へこむ)
著者が放送作家出身のためか、小説というよりは、ドラマの脚本・台本あるいは、RPGのシナリオを見ている感じで、このまま別メディア(漫画、アニメ、ドラマ、映画)に展開できる力はあるが、ターゲットの選定は慎重にしたほうがいいかも。
個人的には表紙をめくった最初の挿絵で、「『マネジメント』を片手に相談しあっている女子高生」の描写に、何とも言えない違和感があって面白かった。